ホワイトニングを始める前に気になるあれこれ

—そもそも歯のホワイトニングとは、どのように白くしているのですか？

歯を削ることなく表面に蓄積した色素を分解し、生まれ持った歯よりもさらに白く明るい歯を目指す施術がホワイトニングです。洗濯をするとき、衣類を漂白剤に漬けてより白く洗い上げることがありますよね。そのイメージで捉えていただければと思います。

—歯のクリーニングでも綺麗になるな、と思っているのですが、ホワイトニングとどう違うのでしょうか？

クリーニングは歯の付着物を除去して、生まれ持った歯、つまりゼロの状態に戻すこと。一方ホワイトニングはゼロからマイナスに、元の歯よりもさらに白くするという違いがあります。

—「虫歯があるとホワイントニングができない」と聞いたことがあるのですが、本当ですか？ その他、気を付けることはありますか？

基本的に、ホワイトニング希望で受診されると、レントゲンで口内の状況を確認し、その結果をもとにご相談が始まります。そのため、ご自身で事前チェックや対策をする必要はありません。何かあれば、歯科医から説明や対処法などをお話しするので、気負わずで大丈夫ですよ。ただし、ホワイトニングは差し歯や被せものにはできないことと、虫歯があった場合にはまず治療が必要なことは知っておいてもいいかもしれません。

—そして気になるのが、期間と費用。それぞれ大体、どの程度かかるものなのでしょう？

一般的に歯科医院で提供しているホワイトニングには、歯科医院で行う“オフィスホワイトニング”と、ご自宅で行う“ホームホワイトニング”、そしてその２つを組み合わせた“デュアルホワイトニング”があります。ご自身が「どのくらい白くしたいか」や「どんな目的で白くしたいのか」などによって、どのメニューにするのか、どのくらい継続するかが変わってくるのです。それぞれの一般的な期間や費用感については、後ほど詳しくお話ししていきますね。

—ちなみに、不自然な白さになることが不安なのですが……。

ホワイトニングによって、明らかに人工的な白さになることはないのでご安心ください。確かに生まれ持った歯よりも白い印象になりますが、透明感がでて明るく見える、という表現の方がイメージしやすいかもしれません。たまに著名人の方などにいらっしゃる「真っ白」な歯をお持ちの場合は、インプラントなど別のアプローチをされていると考えられるので、ホワイトニングにおいてその心配はありませんよ。

即効性が欲しいならオフィスホワイトニング、継続的な白さならホームホワイトニング

—先ほどお話しいただいた、歯科医院で行う“オフィスホワイトニング”と、自宅で行う“ホームホワイトニング”の違いについて、詳しく知りたいです。

それぞれの特徴を、表にまとめました。オフィスホワイトニングの１番の特徴は、1回でも効果を実感しやすいこと。イメージとしては、目を閉じて施術を受け、数十分後に歯を見ると「白くなっている」と思えるような感覚です。ただし、色戻りしやすい点が気になるところ。一方ホームホワイトニングは、日々コツコツ継続すると、徐々に効果が見えてきます。始めてからしばらく経って、ふと鏡で歯を見たときに「白くなってきた」と思うようなイメージ。時間をかけてじっくり白くしていく分、色戻りしにくいのが嬉しいポイントです。

※ホワイトニングは公的医療保険が適用されない自由診療です。費用は施術方法や目指す状態により異なります。

※千賀デンタルクリニック 浦和パルコ医院で行う場合の価格です。カウンセリング、診察料等別途かかります。

ただし、目指したい白さが異なるように、効果の感じ方も人それぞれ。「これだけ白くなる」と断定することは難しいのですが、イベントに合わせて集中的に白くしたいのか、長期的に白い歯にしていきたいのかなど、目的に合わせてオフィスか、ホームか、はたまた双方のいいとこ取りのデュアルか、選択するのも良いと思います。 

―オフィスホワイトニングの方が、すぐに効果を実感しやすいのはなぜでしょう？

オフィスホワイトニングは歯科医師や歯科衛生士など、免許を持った医療従事者が施術するため、ホームホワイトニングに比べて、より強い薬剤を使用できることが挙げられます。少し話が逸れますが、市販のホワイトニングキットや歯科医以外でのホワイトニングサービスについては、オフィスはもちろんホームホワイトニングとも薬剤等が大きく異なるため、この２つの施術とは違うものと言えるでしょう。歯のホワイトニングを検討した時は、虫歯がないかの検診も兼ねて、まずは歯科医院でご相談いただくのがおすすめです。

白い歯を保つには、色の濃い食べ物・飲み物を口にしたら水を飲むこと！

―せっかくホワイトニングをするなら、できる限りその白さをキープしたいところ。そのために、日常生活の中でできることを教えてください！

そもそも歯が黄ばんでくる原因は、色素沈着であることが多いです。基本的に、コーヒーやワイン、カレーやチョコレートなど色の濃い食べ物・飲み物は着色の要因となりやすいです。ただ、これらを食べてはいけない、というわけではありません。歯を守り、より美しくする目的の１つにはきっと、「食事や生活を楽しむ」ということがありますよね。そのためにも制約はせず、色の濃いものを口にしたときには歯を磨いたり、歯を磨ける状態でなければ水を飲むなどお口の中に着色の原因をとどまらせないことが大切です。加えて、３〜4ヶ月に1回の検診もお忘れなく！

―それなら簡単に取り入れられそうです！ 歯磨き粉などの選び方にもポイントがありますか？

患者さんからも聞かれることがありますが、基本的に「好きなものを使ってください」と答えています。というのも、ドラッグストアなどで取り扱いのある市販品は大きく差異がないためです。毎日の歯磨きでもしっかりホワイトニングをしたい！ということであれば、歯科医院で販売されている歯磨き粉には市販品とは異なる成分が入っているため、その選択肢も良さそうです。いずれにせよ、しっかりと歯を磨き、色素の濃いものを口の中に滞留させず、定期的に検診に行くこと。これを意識いただければと思います。

Profile

●横尾　宗弥（歯科医師）

明海大学歯学部を卒業し、経験を重ね千賀デンタルクリニック浦和パルコ院院長に就任。

複数のインプラント学会に所属し院長に就任した現在でも日々自己研鑽を重ね、「患者様の納得のいく治療を提供し健康的な生活のお手伝いをすること」を目標としている。

●千賀デンタルクリニック

埼玉県さいたま市浦和区東高砂町11−1 浦和PARCO 7F

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Staff Credit

Text　Ayano Homma
Illustration　Saki Morinaga