2022.03.25
Welpa相談室 vol.05 風邪薬や花粉症の薬など、薬にまつわる疑問を薬剤師さんに聞きました。
気になっているけど、病院へ行くのはちょっと大袈裟だから…とほったらかしている身体や心のお悩み、ありませんか? Welpa相談室では、そんな日々のモヤモヤに耳を傾け、わかりやすくお答えします。第5回は、お薬やサプリについての疑問。風邪のひき始めや花粉症の薬の選び方についてウィーズファーマシー心斎橋薬局の薬剤師・髙橋さんにお話を伺いました。
Illustration Yukiko Kata
Text & Edit RCKT / Rocket Company*
お悩み:風邪のひき始め。市販の風邪薬だと効果が低い気がしてしまいます。病院で処方される薬との違いは?
風邪薬の成分自体は、市販薬と処方薬で大きな違いはありません。しかし、一般的に市販薬の方が処方薬に比べて用量(1回量や1日量)を少なく設定していることもあるので、それぞれの症状に対して効果が低いと感じることはあるでしょう。
例えば、「市販の風邪薬の漢方薬は効かない」という方がいらっしゃいます。それは、処方薬に比べて用量が少ないからかもしれませんし、元々症状にあった市販薬を選べていないからかもしれません。「効果が低い」と言って倍量飲む方もいらっしゃいますが、副作用の可能性もあるのでおすすめできません。また、市販の漢方薬の中に「満量処方」と呼ばれる、医療用の医薬品と同じ量の成分が入っているものもあります。いずれにせよ、市販薬も処方薬も、それぞれ決められた用法用量で服薬しましょう。
風邪薬と一概に言っても色々な種類があります。医師の診察を受けて処方される薬に比べて、市販薬は自覚症状によって「どの薬が今一番合っているのか」を見極めることがポイントです。症状に合っていなければ効き目は期待できないので、インターネットで検索して選んだり箱(外装)に書いてあることを見て自分で選んだりするよりも、薬剤師や登録販売者に相談して選ぶことをおすすめします。
お悩み:毎年、花粉症でつらいです。いろいろな薬があるようですが、おすすめの薬はありますか?
花粉による症状は、くしゃみ、鼻みず、鼻づまりなどの鼻の症状、目の痒みや充血、まぶたの腫れなどの目の症状がよく知られています。そのほかに、肌荒れ(花粉皮膚炎)、のどの痛みや咳、耳の中の痒み、頭痛などがあります。「花粉症」といっても、症状には個人差がありますので、症状に合った市販薬を選ぶことが大切です。
花粉症の抗ヒスタミン薬は第一世代と第二世代に大別できます。第一世代の抗ヒスタミン薬は効き目が強いものの、眠気や集中力の低下(インペアード・パフォーマンス)といった副作用があります。それらの副作用を改良したものが第二世代の抗ヒスタミン薬です。「眠気が出てもいいから効き目を重視したい」ということなら第一世代の抗ヒスタミン薬を。眠気や集中力の低下が気になるなら第二世代を。ただ第二世代でも全く眠気が出ないというわけではないので、車の運転や高所の作業をされるなど眠気を気にされる方は、眠くなる成分が配合されていない漢方薬の小青竜湯(しょうせいりゅうとう)をお試しください。
ところで、花粉症の市販薬の名称で久光製薬のアレグラ®︎FXや大正製薬のクラリチン®︎EXなど「医療用医薬品と同じ名称のものがある!」と思ったことはありませんか? これは「スイッチOTC薬」と呼ばれる医薬品です。医療用医薬品として用いられていた成分が、市販薬にスイッチ(転換)された医薬品のことです。OTCは、「Over The Counter」の略。医療用医薬品よりもリスクが低く、カウンター越しに薬剤師や登録販売者などの助言を受けて医師の処方箋がなくても購入することができる医薬品です。薬剤師や登録販売者に相談したうえで、用法用量を守って正しく服用してください。
また、「受診したいけどどの科に行けばいいのかわからない」といったご相談を受けることがあります。花粉症の四大症状は「くしゃみ」「鼻みず」「鼻づまり」「目の痒み」です。症状が一番ひどいところを基準にして、鼻の症状が強いなら耳鼻咽喉科、目の症状が強いなら眼科、さまざまな症状がある場合は内科やアレルギー科を受診することをおすすめします。
教えてくれたのは、薬剤師の髙橋さん
髙橋直子
薬学修士。感情を整える専門家:カウンセラー&ヘルスケアコンサルタント。病院の薬剤部勤務を経て、保険薬局の薬剤師兼私立大学薬学部で薬剤師として勤務。現在は、薬剤師として健康な方から病気療養中の方の健康サポートをする傍ら、『笑顔あふれるマインド作り』をテーマとして、学生や会社員を対象としたソーシャルメンター、医療コンサルタントおよび研修講師としての活動も行う。日常の健康相談に加え、クリアリング、アドラー心理学、認知行動療法、アンガーマネジメント、コーチング、スマイルトレーニングなどを活用したカウンセリングが得意。立命館大学薬学部 医療コミュニケーション講座担当、「感情を整えたらうまくいく!輝塾」主宰。
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