決して大袈裟ではないです。いわゆる月経前症候群（PMS）と言われる症状です。その原因は、女性ホルモンの排出量が排卵後の黄体期に急激に増減するためと言われています。対策としては、身体が冷えないよう気をつけたり食生活・適度な運動で身体を健康に整えるといったことや漢方の服用などが一般的に言われていますが、確実なのは婦人科を受診していただくこと。低容量ピルを服用することで排卵が起きず、PMS も解消されます。

ピルというと年配の方は避妊用というイメージがあるかもしれません。確かにピルは避妊の効果がありますが、この場合の使用目的は、女性の生活の質を上げること。生理前のイライラが生活に悪影響を与える程度のものであればピルを服用して生活の質を上げたほうがいい、というのが今の考え方です。近いうちに妊娠を望んでいる方にはピルは薦められませんが、数年後の妊活を考えている方からすれば、ピルを活用すれば卵子を温存して卵巣を休ませることができるという効果も。女性が自分の身体をコントロールする手段として、積極的に推進している婦人科医もいます。

昔は「生理痛やイライラは当たり前」、だから「我慢すべきこと」と思われていたかもしれませんが、今はそれをコントロールする方法があるのでぜひ婦人科を受診していただければと思います。

更年期障害は女性ホルモンが減ることにより起こるもので、のぼせやイライラ、人によっては肩こりといった症状が一般的です。生理痛やPMSと同じく個人差があり、全く平気な人もいます。ストレスの影響もあると言われていますね。

更年期の定義は閉経の前後 5 年の約 10 年間。急にピタッと生理が止まって閉経を迎えるわけではなく、段々と生理周期が乱れてきて最後に止まるのが閉経というもの。周期が短くなる人もいるし飛ぶ人もいる。間隔がバラバラになってきたらもう女性ホルモンが減っている状態です。

更年期障害の対策としては、女性ホルモンを補うホルモン補充療法（HRT）があげられます。ホルモン剤による治療には、種類により血栓症のリスクがあると言われていますが、逆に骨粗鬆症の予防に効果があるというプラスの面も。血液検査で副作用が出ていないかを見つつ、数年かけて長期的に治療していくことになります。ホルモン剤の他に、漢方で体質改善を図る方もいますね。

更年期障害は治療できるものだと理解していただければ、不安も少し解消されるのではないでしょうか。

先生のプロフィール・クリニック

●中山 亜耶（臨床検査技師/超音波検査士/培養士）
大阪大学大学院を卒業後、レディースクリニック サンタクルスに臨床検査技師として勤務。出生前診断や胎児スクリーニング等のエコー業務に携わる一方、現在は培養士として不妊カウンセリングから精液検査・人工授精、体外受精、顕微授精まで多岐にわたり手がけ、不妊治療の現場に向き合っている。

●レディースクリニック サンタクルス ザ シンサイバシ
大阪府大阪市中央区心斎橋筋1丁目8-3 心斎橋PARCO10F

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