季節の変わり目になると、人間の髪の毛も動物と同じように生え変わりがあるという説も聞きますが、今のところ医学的根拠はないのです。実際、抜け毛の相談が特に秋冬に偏っているということもありません。季節によるもの、というよりは頭皮が受けたダメージにより抜け毛が増えるということはありえます。紫外線や乾燥により炎症が起き、それが酷くなって抜け毛が増える、ということです。
 

「抜け毛が気になるからヘアカラーは控えたほうがいいでしょうか？」といった相談を受けることがありますが、髪の毛が傷むのと頭皮のダメージは無関係なので問題ないです。切れ毛が増えるおそれはありますが、脱毛の原因にはなりません。

また、頭皮ダメージが原因の脱毛とは別に、休止期脱毛症といって、ヘアサイクルがストップしたことで起こる脱毛もあります。最近ではコロナに感染したら急に抜け毛が増えたといったことを聞きますが、高熱や出産といった、身体に強いストレスがかかったタイミングで急激に抜け毛が増えるんですね。ヘアサイクルは成長期・退行期・休止期を繰り返すものですが、それが乱れて一斉に多くの毛が休止期に入ってしまうことが原因です。半年くらいで治ることが多いですね。

頭皮をマッサージすると血行が促進されて、健康な髪の毛になるというのはあります。結果ハリやコシが出て抜けにくくなるかもしれないですが、「脱毛が防げます」とまでは言えないですね。しかし、ハリとかコシが出ればしっかり髪のボリュームが出るので、頭皮マッサージをやる価値はあると思います。

シャンプーのたびに毛が抜けるのを気にしている方もいますが、1日1回であれば問題ありません。頭皮に負担をかけすぎないことが大切なので、刺激が少ないシャンプーを選び爪を立てないようにしていただければ、それで十分だと思います。

シャンプーの際にヘッドブラシを使ってマッサージするのも流行っていますね。血行が促進されていいと思います。ブラシに抜け毛がついていて心配という方もいますが、そもそも髪の毛は1日50本から100本ぐらい抜けるのが正常。ヘッドブラシで軽くマッサージした程度で抜けるような毛は寿命ということなので気にしなくていいですよ。

頭皮も皮膚なので、しっかり保湿してあげることも大切です。化粧水のようなさらっとしたテクスチャーのローションがおすすめですよ。最近はイソフラボン入りの頭皮ローションも出ていますが、イソフラボンには髪を生やす女性ホルモンのエストロゲンに似た作用があるため、お薬に抵抗がある人にとっては試す価値があると思います。 乾燥が気になる時期には加湿器を利用すると頭皮にもいい影響を与えます。

先生のプロフィール・クリニック

●圓山 尚（皮膚科医）
クリニックフォア新橋院長。お肌の状態に合わせて「内科・皮膚科・美容皮膚科」と幅広い診療科目から最適な治療法を提案。丁寧な問診と、きめ細かな説明にも定評がある、美のかかりつけ医。

●クリニックフォア 心斎橋PARCO
大阪府大阪市中央区心斎橋筋1丁目8-3 心斎橋PARCO10F

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