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shinsaibashi

2024.05.24

「limerime と辿る生理の歴史と”これから"」開催!Sister長尾さん・limerime須藤さんに意気込みと見どころを聞いてみました。

2024年3月、国際女性デーに合わせて渋谷PARCOで行われた展覧会「limerimeと辿る生理の歴史」。歴史社会学者・田中ひかる氏の監修のもと、“これまで生理が社会的にどう扱われてきたか”や“生理が抱える社会問題”について考える機会が設けられ、女性のみならず様々な人が足を運びました。

 

そんな生理の歴史を辿る展示が、5月28日の月経衛生デーに合わせて心斎橋PARCOのWelpaにやってきます。開催に先駆けて、イベントを企画したセレクトブティック「Sister(シスター)」の長尾悠美さんとサニタリー用品ブランド「limerime(ライムライム)」の須藤紫音さんに意気込みや見どころを伺いました。

さらに大阪編では、専門家を招いてのトークショーも実施予定。普段はあまり話すことのない生理について考える貴重な機会になるはず。

ぜひチェックしてください‼︎

 

☞イベントの詳細はこちら

 

▶INDEX

ー Sister×フェミニズムの関係性とコラボレーションの経緯

ー Welpaでイベントを行う意義と、今回の見どころ

ー 普段ふたりが実践しているセルフケアについて

Sister×フェミニズムの関係性とコラボレーションの経緯

 

―長尾さんが代表を務めるSister はどんなショップでしょうか?

 

長尾:2008年にオープンしたセレクトブティックです(現在はオンラインショップのみ)。

開業当初から“女性のためのお店”をコンセプトに、基本的に女性のみで運営してきました。6年前に独立して代表を務めるようになって以降、女性であるからこその社会の生きづらさを感じる機会が何度もあって。

 

これまで女性のためのお店としてやってきたけど、いざその権利が脅かされた時、女性の権利やハラスメントへの対処法に関して無知であると痛感して、いかに自分が表層的だったかを知りました。そこで改めて“女性のため”とはどういうことか、お客さまと対話をしながら学んでいきたいと思い、3月8日の国際女性デーに合わせて 2019年からイベントをスタートしました。

 

―社会の生きづらさ、とはどういったことでしょうか。

 

長尾:決定的な出来事があったというより、毎日の積み重ねに近いですね。ハラスメントって日々色んな場所で起きていて、受け流したり気付かない振りをしたりしてきたけど、それがストックされて怒りや疑問の感情が溢れてきたんです。

 

Sisterの周年には、毎年アニバーサリーグッズをリリースしてきましたが、単にショップのお祝いをするだけじゃなく、女性全体をフォーカスする日に移行したいなと。イベントを通してジェンダーの平等について考える機会を設けることで、お客さまと一緒に知識や思考を養っていくことにしました。

 

 

―これまで様々な企業やアーティストとコラボレーションし、ジェンダーに関する課題提起を行ってきたSisterですが、今回タッグを組んだオーガニックサニタリー用品ブランド のlimerimeとはどんなご縁が?

 

長尾:limerimeの須藤さんとは、2年前に渋谷PARCOで開催されたメキシコのフェミニストアーティスト、モニカ・メイヤーさんのイベントで初めてお会いしました。プライベートの共通点もあって親交を深めるようになり、今回のイベントでもご一緒させていただきました。

Welpaでイベントを行う意義と、今回の見どころ

 

―Sisterの拠点である渋谷を飛び出して、心斎橋PARCO10Fの医療ウェルネスモール・Welpaで展示を行う意義を教えてください。

 

長尾:渋谷編では、想像以上に多くの方に共感していただけて。大阪でも私たちの思いに共感してもらえる人がいればと開催を決めました。

私自身、定期的な予防や治療によるケアで心地よい暮らしを目指すWelpaのコンセプトに深く共感していて。女性がクリニック等を利用しやすい環境を整えているこの場所で展示を行うことで、以前とはまた異なった視点での対話が生まれるのではないかとワクワクしています。

 

―どんなお客さまに足を運んでいただきたいですか?

 

長尾:Welpaというスペースの特性上、セルフケアやジェンダーの平等への関心の高いお客さまが足を運んでくれるのではないかなと。私もまだまだ勉強中で、日々アップデートが必要だと感じているので、そういった方とお話できることが楽しみです。

 

須藤: 私は女性に限らず、あらゆる方が生理の歴史を学ぶ意義があると考えていて。現代の社会課題を紐解くと、幼少期におけるジェンダー教育の不十分さが少なからず影響を与えています。

 

もちろん性教育は学校でも学びますが、性と生殖の部分だけがフォーカスされて、いやらしいものとして捉えられてしまう。その根底にある権利やコミュニケーションを学び、そこからプライベートゾーンや体の仕組みの話をしていくことが、本来あるべき姿だと思います。生理の歴史を知ることで、性教育や社会課題の原点に立ち還ることができるのではと考えています。

 

 

―1階のポップアップスペースで開催した渋谷編とはまた異なる空間ということで、より奥行きのある対話も生まれそうですね。それでは今回の見どころをお願いします。

 

長尾:私は比較的トラブルが少ない体質だったこともあり、特に生理に対する思い入れもなく、何となくプロダクトを選んで使ってきました。

 

だけどlimerimeの商品との出会いをきっかけに、生理の歴史や社会的見解の変遷を知って、毎月の生理との向き合い方が一変しました。きっと新鮮な学びがある展示だと思います。


須藤:生理って語りづらいことではあるけど、一人ひとりが色んな思いや疑問を抱えていて。それをオープンに語り合い共有する場を持つことで、来場者にとって何か一つでもプラスになればと思います。

 

「生理用品に触れずして、女性の歴史は語れない」。これは「生理用品の社会史」(角川ソフィア文庫)などの著書があり、展示を監修していただいた歴史社会学者・田中ひかるさんの言葉です。

 

女性の活躍や社会進出は、機能と利便性を備えた使い捨てのサニタリー用品ができたからこそ実現したこと。その変遷を知ることで、社会に潜むジェンダー意識を紐解いて、より良い未来に繋げることができるのではないかと思います。

 

 

―大阪編では初のトークショーも実施されます。どんなお話をされる予定ですか?

 

須藤:生理用品の廃棄や環境課題、サニタリー用品の選択肢、月経教育といった3本柱でのトークを考えています。今回は私と悠美さんのほか、途上国の月経問題について長く研究を重ね支援されてきた大阪大学の杉田映理教授、そして日本福祉大学の小國和子教授に ご登壇いただきます。

 

limerimeのもの作りはサニタリー用品の開発を通して生理にまつわる社会課題を解決したいと杉田先生とディスカッションするところからスタートしまし た。これまで多方面でお力添えいただいた先生と大阪でセッションできることは、ブランドとしてもすごく有意義だと考えています。

 

―トークショー以外に、渋谷編との違いはありますか?

 

須藤:大阪編では生理の歴史に関する内容だけでなく、「歴史とこれから」というテーマで、今後のことも盛り込んだ展示にする予定です。規模的には少しミニマムになりますが、より内容の濃いコンテンツをお届けしようと思っています。

 

―展示物を制作する際、大変だったところはありますか?

 

須藤:田中先生の著書以外に、生理の歴史に関する情報があまり落ちてないことに苦労しましたね。欲を言えば、日本で初めての使い捨て生理用品・アンネナプキンを作った坂井泰子さんの人柄にもう少しフォーカスしたかったです。そちらも情報源が少なく、かなり難航してしまいました。

普段ふたりが実践しているセルフケアについて

―最後に、普段おふたりが実践しているセルフケアについて教えてください。

 

長尾:病気になった際の対処を考えるのではなく、いかに未然に防ぐか。Welpa のコンセプトにも通ずる部分を大切に、婦人科や歯医者などに定期的に通い、身体のメンテナンスを欠かさないようにしています。

 

以前病が発覚した際、健康な状態とはどういうことか改めて考えてみました。健康ってすごく大切だけど、必ずしも“病気じゃない=健康”ではなく、自分が心地よく過ごせる状態を毎日保つことが健康に繋がるのかなと。ハーブや漢方を日常に取り入れたり、入浴や睡眠の時間を適度に確保して、心地いい健やかな暮らしをすることが私のセルフケアです。

 

須藤:私のおすすめはヨモギ蒸しです。身体がポカポカになるし気分もすっきりしますよ。施術を行う 30〜40 分の間、何も考えずに頭を空っぽにできるのも魅力。日々忙しくて脳を休ませる時間ってなかなか取れないと思うので、ぜひ取り入れてみてください。

 

もう一つは、天然由来のサニタリー用品です。化繊など石油由来のものから天然由来のプロダクトに変えるだけで、肌への負担が軽減されます。今回の展示には、竹の繊維を使用してプラスチックフリーで作られた limerime の商品も販売する予定です。身体にも環境にもやさしいサニタリー用品を取り入れることで、憂鬱な生理期間がきっと快適になりますよ!

 

 

●Information

 

巡回展 limerimeと辿る生理の歴史と”これから"

◼︎会期  2024年6月1日(土) - 6月2日(日)

     ※展示のみ6月28日(金)まで

■営業時間 10:00 -20:00

◼︎場所  心斎橋PARCO 10F Welpa

 

★EVENT

①トークセッション

Sister 長尾悠美 x limerime 須藤紫音 x 大阪大学 杉田映理教授 x 日本福祉大学 小國和子教授
テーマ 「5月28日 月経衛生デー/これまでの生理・これからの生理 課題について考える」

 

日時 6月1日(土)・6月2日(日)  14:00~(1時間程度)

定員 各20名


②ツアーガイド

生理の歴史展についてより詳しい展示案内 (長尾・須藤より)

 

日時 6月1日(土)・6月2日(日)  11:00 / 13:00 / 16:00 (各回30分程度)

定員 各10名

 

▷イベント詳細、参加のご予約についてはこちら

 

 

●Profile

(主催:写真右)長尾悠美

セレクトブティック「Sister」のディレクター兼バイヤー。国内外のデザイナーズブランドやヴィンテージ、雑貨や書籍をセレクト。映画やアートにも造詣が深く、幅広い知識と審美眼を活かして多彩なコラボレーションを展開。近年は女性支援にも積極的に取り組む。

 

■Instagram

@yuminagao_

@sister_tokyo

 

(共催:写真左)須藤紫音

株式会社 VVV 代表取締役。複数の外資系アパレルにてマーケティング/ブランディング業務に携わり、出産を機に独立。竹の繊維を表面素材として使用した、体にも環境にもやさしいサニタリーブランド「limerime」の商品開発&運営を行う。

 

■Instagram

@limerime_official

 

 

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Staff Credit
Photo: Noriko Uemura
Text&Edit: Yuka Muguruma

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