2024.07.22
なぜ歯の定期検診に行ったほうがいいの? 検診に行かないと気づきにくい病気って?【Welpa相談室vol.25】
なんとなく身体や心のモヤモヤ・不調があっても、「いま忙しいから」「病院に行くほどでもないから」とやり過ごしてしまうこと、ありませんか?Welpa相談室は、そんなスルーしてしまいがちな心と身体の声に寄り添い、ドクターや専門家に気になるアレコレを相談できる場所。
今回のテーマは、歯の定期検診について。定期検診に行った方がいいと聞くけれどそれはなぜ? 痛くないの? どんなことをするの? といった気になる点を、千賀デンタルクリニック 浦和パルコ医院の院長・横尾先生に教えていただきました。
▶INDEX
ー 定期検診は口内チェックに加えて、虫歯&歯周病対策に
ー 自覚なく進行する歯周病。早ければ20代から発症することも
ー 定期検診は怖くない! 検診ですること・かかる費用
定期検診は口内チェックに加えて、虫歯&歯周病対策になる
—歯も定期的に検診に行った方がいいと聞きます。それはなぜなのでしょうか?
実は誰しも、口の中に “虫歯菌” や “歯周病菌” を持っています。その菌たちが活性化すると、虫歯や歯周病になってしまいます。そのため、これらの菌が活性化しない清潔な口腔状態をキープすることが大切です。虫歯や歯周病になりにくい状態であるかをチェックし、歯垢(プラーク)や歯石除去などでメンテナンスすることが、一般的な定期検診の目的です。
—どのくらいの頻度で通うのが良いですか?
大体3〜4ヶ月に1回が目安です。歯科医師、歯科衛生士の判断で問題が無ければ半年に1回でも大丈夫。子供の頃は親御さんに連れられ、虫歯予防などのために検診に行っていたけれど、中学・高校・大学と自立するにつれて通わなくなった、という方もいるのではないでしょうか?
思春期以降は、虫歯だけでなく「歯周病を発症しないように」という視点が大切になってきます。高頻度でなくても、継続的に検診に行くように心がけてほしいですね。
自覚なく進行する歯周病。早ければ20代から発症することも
—歯周病というと、歳を重ねてから気をつければ良いと思っていました。20代など若いうちから意識しておいた方がいいのですね!
そうなのです。私が診療している体感では、早ければ20歳前後から歯周病になるケースもあります。患者さんのボリュームゾーンとしては、30〜40代です。この辺りの年代から歯周病になる人は増え、50代以降になるとかなり進行しているケースが多いですね。
―そもそも歯周病はどんな病気か、改めて教えてください。
歯周病とは、歯の表面にある白・黄色系のネバネバした物体=歯垢(プラーク)の中にいる歯周病菌が歯周ポケットに入り、それに対抗するため体内の細胞が分泌した成分が歯茎や歯を支える骨を溶かしてしまう病気のこと。糖尿病などと同じ“慢性疾患”の一つで、一度発症すると完治することはなく、それ以上悪化しないように一生付き合い続けなければなりません。そのため発症しないように、歯周病の引き金となる歯垢(プラーク)を除去したり、歯茎の状態や、きちんと歯を磨けているかを確認する定期検診が重要なのです。
―「こういう症状が出たら受診を!」という、病気が進行しているサインはありますか?
実は、歯周病は自覚症状がなく進行していることがほとんど。そのため症状が表れたときは、もうかなり進行してしまっている、ということになります。定期検診に行っていると、自覚症状がない初期段階で歯周病を発見できるのです。とはいえ、「歯磨き中の歯茎からの、痛みを伴わない出血」「口臭がきついと言われる(腐乱臭に近い)」などの症状が出た際には、進行していると考えられるため、早めに受診し、それ以上進行しないよう策を打つ必要があります。
定期検診は怖くない! 検診ですること・かかる費用
―歯周病は自覚がなくても進行していると聞くと、定期検診に行かねばと思います。検診では具体的にどんなことをするのですか?
まずは歯と歯茎の状態を確認します。磨き残しはないか、どの歯茎から出血しやすいか、などをチェックし、状態に合わせたクリーニングを行います。その後、口腔内の状態をもとに、歯磨きのコツなど、セルフケア面でのアドバイスをお話しします。歯と歯茎を健康に保つために最も大切なのはセルフケア。検診や歯科医院でのトリートメントはあくまでもそのサポートに過ぎません。毎日のブラッシング等が、口腔内の健康寿命を左右するのです。
―歯科医院に行く、と思うと痛くて怖いイメージが先行していましたが、検診はそれらがないと聞いてホッとしました。
歯科医院=治療の場という認識は多いのかなと思います。けれど本来は「症状が出てから行く場所」ではなく「症状が出る前に検診を受けて、予防する場所」であってほしいと考えています。そのため、痛い・怖いことをせずとも健康な歯と歯茎をキープできるよう、定期的な検診を習慣にしてもらえたら、と思います。
―虫歯や歯周病以外にも、定期検診で気づける、歯や口腔内のトラブルはありますか?
神経が通っていないところは、異変があっても感覚がないので気づきにくいです。そのため、インプラントや、神経を取った虫歯治療箇所の異変を発見するという点でも、定期検診は一役買っています。また、歯だけでなく頬の内側など、粘膜部分の病気発見につながることも。頬の内側の粘膜の異常が、実は口腔がんの可能性を知らせていた、というケースもありました。
―定期検診は保険適用なのでしょうか? 費用感も気になります。
保険適用か否かは、クリニックの考え方によって異なります。当院の場合、検診自体は保険適用内です。ただし、歯に粉と水を吹き付けて着色やバイオフィルムを除去する「エアフロー」(税込4,400円)や、研磨剤無配合の薬剤で歯の表面をツルツルに仕上げる「リナメルトリートメントペースト」(税込1,100円)などのオプションメニューは、自由診療(保険適用外)となります。
実は、歯を失う原因の第一位とも言われている歯周病。悪化すると、誤嚥(ごえん)性肺炎の原因になることもある、命に関わる病気でもあるのです。けれど、定期的な検診と正しいセルフケアで、回避したり進行しないように努力できるのもまた、歯周病です。歯と歯茎が健康であることは、身体全体の健康にもつながります。ぜひ、定期的な歯科医院での検診を習慣に取り入れてみてください。
Profile
●横尾 宗弥(歯科医師)
明海大学歯学部を卒業し、経験を重ね千賀デンタルクリニック浦和パルコ医院院長に就任。
複数のインプラント学会に所属し院長に就任した現在でも日々自己研鑽を重ね、「患者様の納得のいく治療を提供し健康的な生活のお手伝いをすること」を目標としている。
埼玉県さいたま市浦和区東高砂町11−1 浦和PARCO 7F
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Staff Credit
Text Ayano Homma
Illustration Saki Morinaga