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2024.02.16

ジェーン・スーが語る どうして自分に自信が持てないのか【後編】

Column

コラムニストのジェーン・スーさんとフリーアナウンサーの堀井美香さん、2人が織りなす心地よいテンポ感でユーモアが炸裂しているPodcast番組「OVER THE SUN」をご存知でしょうか? 2020年10月に配信スタートし、お二人と同世代の女性だけではなく、性別を問わず10代-80代までの幅広い年代のリスナーを虜にしている大人気番組です。

 

そんな「OVER THE SUN」初の展覧会が、渋谷 PARCO の GALLERY X BY PARCO に続き、名古屋 PARCO 南館 7F・EVENT SPACE で 2 月 23 日(金・祝)から開催決定! 

 

先月開催された「OVER THE SUN」のイベントでも大きな反響を呼んだジェーン・スーさんに、女性がよく抱える心のお悩みについて語ってもらいました。ファンのみならず、日頃のモヤモヤをスッキリさせたい人必読です。

 

▶【前編】は コチラ

Column: Jane Su

Illustration: Haruhi Takei

Edit: RCKT / Rocket Company*

●「女らしい」にまつわるトリッキーさ

女性が社会で自信を持ちづらい理由はたくさんあります。まず、前編でも書いたように、自信満々な状態がそもそも「女らしい」とは見なされないから。以前、私の男友達がネットで女性のフリをして書き込みをしたとき、自分の容姿ややってきたことに自信がある女性を装ったら「そんな言い方は女らしくないからやめたほうがいい」と男性から返信がきたそうです。書き手が男性だったら「そんな言い方は男らしくないからやめたほうがいい」と女性から言われることは、まずないでしょう。

 

また、この「女らしい」にまつわるあれこれがトリッキーなことも見逃せない点です。「自信満々なのは女らしくない」とハッキリ言われれば、そんな価値観で私を測らないでくれとハッキリ言うこともできるでしょう。しかしこういう時、単に「人としてどうか」と眉をひそめられるだけってこともあるのです。

●とある女学生の「自己主張」in アメリカ

学生時代に交換留学生としてアメリカで学んでいたとき、提出書類のあれこれで明確な自己主張を伴うやりとりが必要になる場面がありました。私は拙い英語でも怯むことなく言いたいことを言えた自分を誇らしく思ったのですが、後日、私が日本で通っていた大学の留学担当教授が、私のことを「なにやら強く自己主張をしたらしい」と、非難めいた言い方で話していたと知りました。この教授は女性です。直接聞いた人の話によると、ことを荒立てるようなことをした、という口調だったそうです。驚きました。きちんと主張をして然るべき権利を獲得しただけのことでしたし、実際にことが荒立ってほかの留学生に迷惑が掛かった事実もありませんでした。アメリカの大学のカウンセラーは全面的に味方になってくれましたし。


果たして、私が男子学生だったら、彼女は同じような反応をしたでしょうか。アメリカという自己主張が必要な国で当然の権利を獲得することを、出過ぎたことのように捉えたでしょうか。ここで「女らしくない」と言われていたら、私は平然と突っぱねることができたでしょう。しかし、そうは言われない場合もあるってこと。男性だったら批判されない態度や行動は現実に存在します。

そういった「こうあるべき」で願望や主張を少しずつ削り取られていくと、どうしたって自分に自信が持てなくなる。あなたの個人的な問題ではないということです。加えて、世の中は女性中心にはデザインされていません。妊娠や出産を経れば、身体的な理由でどうしてもブランクが生まれてしまうのは女性のほう。一方で、子どもを産み育てなければ、女性として不完全と見做される価値観も根強くあります。それらをすべて個人的な能力や資質の問題として捉えてしまうと、「私は私のままでうまくいくかもしれない」とは到底思えなくなってしまうのです。

 

ピンとこない。私には当てはまらないわ、と思うなかれ。たとえば「女らしい人」と言ったとき、お互い会ったこともないにもかかわらず、私たちはみなだいたい同じような属性の女性を思い浮かべることができます。思い浮かべた女性がベリーショートである可能性は、著しく低い。同じ社会で生まれ育っている限り、そういう刷り込みがなされているのです。であるならば、刷り込みの害を被っている可能性も十分にある。まだ、気付いていないだけかもしれません。

 

 

●普段とは異なるYES/NOのススメ

 

では、自信を取り戻すためになにをしたらいいのでしょう。私は普段は言えない「NO」を言うことから始めるのを勧めます。ここで断ったら嫌われてしまうとか、これを拒否したら不十分だと思われてしまうと怯まず、「NO」を言ってみる。これは「なんでも請け負うのが男らしさ」という無理難題を背負わされた男性にも有効です。いきなりやりたいことを見つけようとするのではなく、まずは NO を言うことから自分の欲望の輪郭を確かめる。


次に、普段は「NO」と言ってしまうことに「YES」で答える。「私なんかには無理だわ」とか「興味がないわけではないけど、身の程知らずだわ」と、いつもならNOを言う場面でYESを選ぶ。昇進の誘いや、新しい服装などもそうです。うまくいかないこともあるかもしれませんが、トライした自分にNOを突き付けず、チャレンジした姿勢をYESで認める。そうやって、普段とは異なるYES/NOを選んでいくと、目の前の景色が少しずつ変わっていきます。確かに勇気は必要です。でも、試してみる価値は十分にあります。たまにうまくいって、「私も捨てたもんじゃないな」と思えることもあるから。道半ばで、自分で自分を裁かないのが一番難しいと気付くかもしれません。それに気付けたら儲けものです。


やりたいことが見つからない人は、見ているとイライラしてくる楽しそうな人を観察しましょう。もしかしたら、それは自分が押さえつけている欲望を実現している人かもしれないから。「〇〇のくせに××している」なんて思うときは、だいたいそう。実は自分で自分にブレーキをかけており、それがストレスだから、アクセル全開な人が憎らしくなってしまう。そういったことを続けていると、確かに小さな失敗はしませんが、いつまでも自信はもてないしチャンスも逃してしまう。たった一度の人生で、それはとってももったいないことです。

 

 

 

●Information

大人気Podcast番組「OVER THE SUN」の展覧会が渋谷PARCOに続き名古屋PARCOにて開催!!

番組の人気コーナーや、番組から生まれた様々な小ネタを空間に落とし込み、番組の世界観をリアルな場で体験することができる内容に。「スーさん・美香さん」の“好きなもの”をふんだんに詰め込んだテーマパークさながらの空間をぜひお楽しみください。

 

ポスター画像

 

OVER THE SUN PARK ~私たちの花が咲いたよ~ 名古屋会場

会期  2024年2月23日(金・祝)〜3月10日(日)

会場  名古屋PARCO 南館7F・EVENT SPACE

営業時間  10:00〜21:00

入場料 800円(税込) ※入場特典・おみくじ付き

主催  企画制作 株式会社パルコ・TCエンタテインメント株式会社

企画協力  TBSラジオ

※展覧会内容は予告なく変更となる場合がございます。

 

展覧会詳細はこちら

 

●Profile

ジェーン・スー

1973年東京生まれの日本人。コラムニスト、ラジオパーソナリティ、作詞家。2015年、『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』で講談社エッセイ賞を受賞。TBSラジオ「ジェーン・スー 生活は踊る」のメインパーソナリティを担当。2020年よりスタートしたポッドキャスト番組『ジェーン・スーと堀井美香の「OVER THE SUN」』が話題に。 その他の著書に、『生きるとか死ぬとか父親とか』『これでもいいのだ』『女のお悩み動物園』など。

 

■Instagram

@janesu112

 

■Podcast

『ジェーン・スーと堀井美香の「OVER THE SUN」』

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