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2024.12.24

風邪対策にはどんな食材や栄養素が効果的? 睡眠不足と疲労が免疫力を下げるのはなぜ?【Welpa相談室vol.31】

#Welpa相談室

なんとなく身体や心のモヤモヤ・不調があっても、「いま忙しいから」「病院に行くほどでもないから」とやり過ごしてしまうこと、ありませんか? Welpa相談室は、そんなスルーしがちな心と身体の声に寄り添い、ドクターや専門家に気になるアレコレを相談できる場所。 
 
今回のテーマは、風邪について。季節問わず気を付けたい風邪ですが、特に注意したいのはやっぱり冬。夏風邪との違いや、冬の方が要注意な理由を、セルフケア薬局の五十嵐さんに教えていただきました。 

▶INDEX

— 冬に風邪をひきやすいのはなぜ?
— 風邪のひきはじめ、症状を食い止めるためにできることは?
— どうして睡眠不足や疲労が溜まると、免疫力が落ちるの?

冬に風邪をひきやすいのはなぜ?

 

—夏よりも冬の方が風邪を引く人は多い印象がありますが、現場での体感としてはどうですか?

 

調剤薬局の現場としても、冬の方が風邪の方にお薬をお渡しする機会が増えている感じがします。時期としては、秋の終わり頃から風邪や呼吸器の不調を感じている方が多くなっている気がします。

 

—冬になると、風邪をひきやすくなるのはどうしてでしょう?

 

冬は空気が乾燥している、というのが一番の理由です。それに伴い喉や鼻、気管支の水分が減り、防御機能が落ちてしまいます。それによって風邪をひきやすくなるのです。

 

—喉や鼻、気管支は、どのような働きで風邪から身体を守っているのですか?

 

人間の喉や気管支には、空気中の異物やウィルスなどを、身体の奥まで入り込まないように防いだり、外に追い出したりする機能、「粘膜免疫」があります。ただしこの働きを十分に発揮するためには、粘膜の水分が重要です。空気が乾燥して、喉の水分が減ってしまうとうまく防御機能が働かず、風邪をひきやすくなってしまうのです。

 

—乾燥しやすい冬は、「粘膜免疫」を高めることが大切なのですね! どんな対策をするのが良いでしょうか?

 

水分摂取がとにかく大切です。中でも、スポーツドリンクなど、体内の水分と糖分・塩分濃度が近いものだと吸収が早いので、より良いでしょう。口腔内の水分を増やすという意味で、飴を舐めるのも良いですね。また、加湿器などで空気の湿度を上げることも効果的です。

 

—夏にも“夏風邪”がありますが、冬にひく風邪と違いはありますか?

 

夏は湿度が高く、ウイルスが飛びにくいため、冬の風邪とは少し異なります。夏風邪の原因に多いのは、クーラーによる寒暖差によるものや、食中毒などでしょう。 冬風邪の原因は空気乾燥などの環境変化によって、免疫力が落ちてしまうことが理由のひとつに挙げられます。ですから、水分補給や空気の加湿などを心がけることが大切です。

 

 

風邪のひきはじめ、症状を食い止めるためにできることは?

 

—喉のイガイガや鼻水など、風邪の引きはじめ症状に応じた対処法はありますか?

 

喉風邪も鼻風邪も、基本的に対応は変わりません。先述の「粘膜免疫」を上げ、これ以上ウイルスを体内に入れないために水分をしっかり摂ることです。

そして体内に入ってしまったウイルスと戦いやすい環境を整えることも大切です。これを「全身免疫」と言います。

 

—「全身免疫」を上げることで、体内のウイルスと戦いやすくなるのですね! そのためにはどんな栄養素を摂るのが良いでしょうか?

 

タンパク質、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンD、発酵食品、食物繊維です。

 

 

他には、抗ウイルス作用と抗炎症作用があるハチミツ、中でもマヌカハニーがおすすめです。マヌカハニーには、抗菌作用の高いメチルグリキサールが含まれています。

ビタミンBとビタミンDについては、それぞれ「マルチビタミンBR」「D3フィッシュオイル」という日常的に摂りやすいサプリメントをセルフケア薬局で取り扱っているので、気になる方はぜひご相談ください。

 

—発酵食品と食物繊維は、合わせて摂ることでより良い働きが期待できるのですね!

 

発酵食品も食物繊維も、適切な量を摂取することが重要です。例えば、厚生労働省策定の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」*によると、女性が1日に摂る食物繊維の目標は18g以上。その量はだいたい、キャベツ1玉分に相当します。目標摂取量はきっと想像より多めなので、意識的に摂ることが大切です。

 

*厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト「食物繊維の必要性と健康」より

 

—そのほかにも、「全身免疫」を高めるためにできることはありますか?

 

身体を温めることも大切です。ウイルスと戦うために、栄養素をしっかり摂って、身体を温めてと、抜かりない対策をできると良いですね。

 

 

どうして睡眠不足や疲労が溜まると、免疫力が落ちるの?

 

—睡眠不足が続いたり、疲れていると免疫力が落ちるのはなぜでしょう?

 

睡眠と疲労、それぞれ異なる要因があるので、分けてお話しします。

まずは睡眠について。睡眠が疲労回復につながることは周知の事実だと思いますが、実は免疫細胞の記憶にも関わります。風邪とは、ウイルスによる感染症。そのため、免疫細胞がしっかりとウイルスに関する記憶を持って対策できれば、感染を防げたり、感染しても軽い症状で抑えられたり、早く治すことが出来ます。逆に、十分な睡眠が取れていないと、風邪をひきやすくなってしまいます。

 

—睡眠の重要性についてわかりました! 一方で、疲労についてはどうですか?

 

肉体的な疲労があると、十分なタンパク質の合成ができません。免疫細胞もタンパク質から作られるので、疲労が続くと免疫力が下がります。

 

精神的な疲労、つまりストレスも免疫に関わっています。ストレス過多な状況は、胃液がたくさん出てしまうなど、腸内環境悪化につながります。腸内には免疫細胞が存在するため、環境が悪くなると免疫力が低下してしまうのです。

 

—睡眠不足の解決策は寝ること。ですが、疲労によるタンパク質減や腸内環境悪化には、どんな栄養素を摂って対策したら良いですか?

 

タンパク質の吸収力をアップさせるビタミンB2をおすすめします。また腸内環境については、日頃から発酵食品と食物繊維を摂ることを意識しましょう。そうすることで、疲れていたとしても腸内環境が悪くなりにくいように、日頃から整えておくことができます。

 

—風邪をひかないためには、ウイルスから防護するための「粘膜免疫」とウイルスと戦うための「全身免疫」の両方が大切なのですね。

 

普段から、水分と栄養素をしっかり摂ること、部屋の加湿をすることを意識してください。加湿が難しい環境では、マスクをしてこまめに水分を摂ることでも十分に対策になります。そして睡眠もしっかりとるようにしてください。今回の記事のイラストでは、風邪をひきながらも働いていますが、具合が悪い時は無理せずに、しっかり休んでくださいね。

Profile

 

 

 

 

 

 

 

●五十嵐 信也(薬剤師)

北陸大学薬学部を卒業後、山形県の市中病院にて臨床に携わり、知識を学ぶ。その後、都内で管理薬剤師として在宅医療に従事。在宅医療での経験から、栄養と人との関わりの大切さを学び、「気軽に相談しやすい薬剤師」を目指すように。映画と料理が好き。

 

セルフケア薬局

埼玉県さいたま市浦和区東高砂町11−1 浦和PARCO 7F

 

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Staff Credit

Text Ayano Homma
Illustration Nacchin

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