2025.07.29
ニキビ治療で注目の「イソトレチノイン」のメリットとデメリットは? 改善後も行いたいセルフケアも【Welpa相談室vol.34】

なんとなく身体や心のモヤモヤ・不調があっても、「いま忙しいから」「病院に行くほどでもないから」とやり過ごしてしまうこと、ありませんか? Welpa相談室は、そんなスルーしがちな心と身体の声に寄り添い、ドクターや専門家に気になるアレコレを相談できる場所。
今回は、ニキビ治療の選択肢の一つで、今注目が集まっている「イソトレチノイン」を深堀り。メリットが認知されている一方で、知っておきたいデメリットや治療後のアフターケアなどを、クリニックフォアの千原先生に教えていただきました。
▶INDEX
—気になるニキビ治療「イソトレチノイン」のメリット/デメリット
—症状が改善した後も、再発防止のために継続すべき5つのセルフケア
気になるニキビ治療「イソトレチノイン」のメリット/デメリット
—ニキビ治療は重症度によって方法が異なり、3段階の中で最も重い【重症】の場合は、自費診療の薬を使用することもあると、ひとつ前の記事で伺いました。中でも、患者さんからの問い合わせが多いなど、今注目されている薬剤はありますか?
“イソトレチノイン”というビタミンA誘導体のお薬について「処方してほしい!」というリクエストや問合せをいただくことが多いです。SNSなどで「この薬でニキビが改善した」という体験談や投稿をされていることもあり、認知が広まっています。イソトレチノインは皮脂腺そのものを縮小し、皮脂の分泌を大きく抑える働きがあり、これを活かしてニキビ治療を行います。
—イソトレチノインによってニキビ改善の効果を実感した声が多いのは、なぜでしょう?メリットを知りたいです!
毛穴の詰まりを改善したり炎症を抑える薬よりも、より根本的な部分に作用するイメージです。そのため保険診療など他の治療で改善しなかった重症〜最重症のニキビに対しても、かなり高い効果を期待できるというのが大きなメリットです。
—副作用に関する情報も目にするのですが、デメリットも教えてください!
内服薬なので、ニキビが気になるパーツだけでなく、全身の皮脂の分泌を大きく抑えるため、口の中や目が乾きやすくなったり、鼻の中も乾燥しがちで鼻血が出やすくなったりすることがあります。また全身の肌も乾燥しやすくなるため、保湿が欠かせません。この“乾燥しやすい”という副作用については、保湿ケアをしながら徐々に慣れていけると思います。もうひとつ、要注意な副作用があり、これはみなさんに知っておいてほしいです。
—乾燥しやすくなる、以外の副作用はなんでしょう?
妊娠中にイソトレチノインを服用すると、胎児に重大な影響が生じる催奇形性が起きてしまう可能性がある、ということです。そのため妊娠中の方はもちろん、妊活中の方や妊娠の可能性がある方も絶対に使用できない薬なのです。そして服用終了後も1ヶ月間は避妊必須の旨をお伝えしています。
—イソトレチノインで治療する場合は、どのくらい継続して服用し続ける必要がありますか? (治療期間)
患者さんの体重や重症度によっても異なりますが、1日20〜40mg分の内服を5〜6ヶ月続けておくと、症状が改善したあとの再発予防も期待できると思います。処方するクリニックによっても1錠あたりのグラム数は異なりますが、当院では現在20mg錠を用意しているので、1日1〜2錠を服用いただきます。

【イソトレチノイン治療費用】
・お薬代目安:1ヶ月あたり8,470~16,577円(イソトレチノイン単品6ヶ月まとめてプラン20mg/40mgの場合)
※重症度・体重に応じて、医師の診察の下で用量を選択していただきます。
・別途、診察料・配送料が都度掛かります。
※クリニックフォア心斎橋院で医師の診察をうけていただき、お薬は自宅などへ配送となります。
※イソトレチノインは公的医療保険が適用されない自由診療です。

症状が改善した後も、再発防止のために継続すべき5つのセルフケア
—イソトレチノイン治療によって症状が落ち着いたあと、その良好な状態をキープするためにしておいた方が良いケアはありますか?
症状が改善していても、再発防止や肌状態の維持のために、日々のケアはとても重要です。気をつけるべきポイントをまとめてお伝えします。
1⃣過度な洗顔や摩擦を避ける
皮脂分泌が抑えられている肌は乾燥しやすく、バリア機能も低下しています。そのため洗顔は、刺激が少なく油分を取り去りすぎない洗顔料やクレンジングを使用し、1日2回を目安に。こすらず優しいタッチで洗うことを意識しましょう。
2⃣保湿をいつも以上にしっかり行う
「ニキビ肌ならあまり保湿しすぎず、少し乾燥させた方がいいかな?」と思われることもありますが、これは誤解。水分と油分の好バランスを保てている肌が理想的で、そのためには保湿が欠かせません。ニキビ悩みのある方は、「ノンコメドジェニック(=ニキビの原因を作りにくい)」と表示されたスキンケアアイテムを選んでみてください。乾燥が気になるパーツがあれば、そこだけクリームを塗布したり。肌状態に合わせて部分的に保湿具合を調整するのもおすすめです。
3⃣毛穴詰まりを防ぐスキンケアも継続する
保険診療で処方される「アダパレン」や「過酸化ベンゾイル」などの角質ケア成分の塗り薬を定期的に取り入れるのも、アフターケアには有効です。状況に応じて、医師と相談をしながら継続的なセルフメンテナンスを心がけましょう。
4⃣紫外線対策を欠かさずに
イソトレチノイン治療中〜治療後の肌はバリア機能が低下していることもあり、紫外線の影響を受けやすい状態。そのため外出時にはSPF30以上の日焼け止めを使用し、帽子や日傘なども併用してしっかり守りましょう。そして紫外線は年中降り注いでいるため、季節を問わずUV対策は抜かりなく行ってください。
5⃣生活習慣の見直しも
日常で感じるストレスや睡眠不足、偏った食事などもニキビの再発要因に。規則正しい生活を意識することも大切です。
イソトレチノインのような心強い治療法もあるとはいえど、ニキビが出来にくい状態に慣れるのがベスト。毎日の生活習慣やスキンケアを見直しながら、ご自身の肌と向き合ってみてください。そしてお困りの際は、気軽にクリニックに相談に来てくださいね!
Profile
●千原 真未(日本皮膚科学会認定専門皮膚科医)
オンライン診療×対面診療のハイブリッドな医療サービスを提供するクリニックフォアで、皮膚科だけではなく、内科・アレルギー科 などプライマリーケアを実践。大学病院で診療と研究に従事した経験を基に、質の高い医療情報の啓蒙を目指しさらなる研鑽 に努める。
●CLINIC INFORMATION
クリニックフォア 心斎橋 PARCO
大阪府大阪市中央区心斎橋筋 1 丁目 8-3 心斎橋 PARCO10F
https://www.clinicfor.life/shinsaibashi/
平日 11:00〜14:00/15:00〜20:00
土日祝 10:00〜14:00/15:00〜19:00
※最終受付時間は診療終了時間の各 30 分前となります
※オンラインにて来院予約が可能です。
https://reservation.clinicfor.life/c/shinsaibashi
_____
Staff Credit
Text Ayano Homma
Illustration Nacchin