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2023.03.03

Welpa相談室vol.15 子宮頸がんってどんなもの?ワクチンで防げるって本当ですか?【前編】

#Welpa相談室

気になっているけど、病院へ行くのはちょっと大袈裟だから...とほったらかしている身体や心のお悩み、ありませんか?Welpa相談室では、そんな日々のモヤモヤに耳を傾け、わかりやすくお答えします。第15回は、婦人科検診でよく聞く子宮頸がんについて。そもそも何が原因でかかるもの? 予防策は? レディースクリニック サンタクルス ザ シンサイバシの藤田先生にお話を伺いました。

Illustration Yukiko Kata 

Text & Edit RCKT / Rocket Company* 

Q. 子宮頸がんの原因って何ですか?

 

子宮頸がんは、子宮の入り口(子宮頚部)にできるがんのことをいいます。日本では、女性の74人に1人が子宮頸がんにかかると言われています。 子宮頸がんにかかる人は、日本の婦人科がんの中でも比較的多く、最近では20〜40代で増加傾向にあります。

子宮頸がんの原因のほとんどはヒトパピローマウイルス(HPV)と言われるものです。性行為によってうつるのと、潜伏期間が3年から十数年と非常に長いのが特徴で、小さい子供がいる母親世代がかかることが多いことから「マザーキラー」と呼ばれています。

HPVに感染したからといって全ての人ががんになるわけでなく、一部の人が感染状態を持続して、3〜10年くらいの年月をかけて異形成といわれる’前がん病変’となり、子宮頸がんになっていきます。

 

がんが進行すると不正出血や茶色いおりもの・性行為後の出血などの症状が表れてくるのですが、ある程度までは無症状のまま進行するというのがこのがんの怖いところで、ブライダルチェックで子宮頸がんが判明することもあるんです。

 

 

Q. 子宮頸がんになりやすい人っているんですか? 

 

HPVは性行為によってうつるということで、性病のように「不特定多数の人と性行為をすると子宮頸がんになりやすいですか?」と聞かれることも多いのですが、そうでもないんです。 

 

性行為が一回でもあれば年齢問わずHPVに感染する可能性があります。「一人の女性が大人になって家族をもうける」という人生の普遍的な過程においてもかかりうるものなんです。1回感染したら潜伏期間が十数年と長いので、閉経後に発症することも。 

性行為経験がある日本人女性の約8割が生涯に1度はHPVに感染している、という報告があります。また、初めての性行為年齢が若年の場合は頸がん罹患率が比較的高いということがわかっています。

 

Q. 子宮頸がんのリスクを下げるためにできることはありますか?

定期的な検診と、ワクチン接種です。

定期的な検診で死亡率を減少させることが科学的に認められているのが、子宮頸がん検診と乳がん検診です。子宮頸がんは、早期に発見すれば比較的治療しやすく、その後の妊娠も出産も可能です。定期的に検診をうけることで、がんになる前の段階で病変を見つけることができます。


早期の子宮頸がんは自覚症状がないことが多いです。不正出血や閉経後の出血といった症状がある場合は、検診の時期を待たずにすみやかに婦人科を受診してください。症状がない女性は1〜2年に1回は定期的に検診を受診してください。

 

また、同時に大事なことは、出来るだけ若いうちにHPVワクチンを接種することです。

 

ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を防ぐHPVワクチン、日本では子宮頸がんワクチンとも言われていますね。小学校6年生から高校1年生までの女子は自己負担なし(公費)の定期接種を受けられます。

先進国の中で日本は突出して接種率が低いです。イギリス、ドイツ、アメリカといった他の先進国では子宮頸がんが減ってきているのに対して、日本では子宮頸がんが増加しているのが現状です。

 

一時、HPVワクチンの副反応といわれる健康被害が日本のメディアで大きく取り上げられ、1999年度生まれ以降の方には積極推奨が差し控えられた経緯があります。TVなどで大々的に副反応の症状で苦しんでいる若い女性の映像が流れました。映像のインパクトはとても強いです。ワクチンを接種したら自分もそうなってしまうのではないかと不安に感じるのも当然のことだったと思われます。ただし、報道では「HPVワクチンと症状の因果関係が解明された」とは伝えておらず、さまざまな症状の原因をHPVワクチンだけに結びつけたことには無理がありました。

副反応が全くないとは言えませんが、それは新型コロナでもインフルエンザでも、どのワクチンにもあてはまること。有名な研究で「名古屋スタディ」というのがありまして、7万人のHPVワクチンを打った少女たちと打ってない少女たちの副反応24項目の症状を比較調査したものです。ワクチンを打っている人のほうが副反応といわれる症状が少なかったという結果になりました。

HPVワクチンの副反応が不安な方は、健康状態や体質を伝え、事前に医師から十分な説明を受けてください。それを踏まえた上で「ワクチン接種を控えたい」という場合は、婦人科の定期検診をちゃんと受けることがとても大事になります。



後編では、HPVワクチンの種類、男性へのHPVワクチン接種や高校2年生以上の年齢での接種についてさらにお聞きしていきます。

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